【申請書書式で解説!】相続登記の手続の流れ(令和6年4月 相続登記義務化対応)


登記手続

執筆者 司法書士 上垣 直弘


  • 兵庫県司法書士会登録番号 第1549号
  • 簡易裁判所訴訟代理認定番号 第712178号

日頃、東播磨地域(明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)や淡路市、神戸市にお住まいの個人、中小企業の方から不動産登記手続を中心に年間100件以上のご依頼を受けています。中でも遺産整理手続の依頼は多く、これまで遺産の名義変更や処分、不動産の相続登記を数多く取り扱った実績があります。

令和6年相続登記義務化対応、相続登記手続に必要な基礎知識、必要書類、登記手続の流れから登記完了後の注意点までを司法書士が完全解説しているコラムです。

1.相続登記前のチェックリスト

一般の方で、人生において不動産の登記手続を経験されることは、そう多くはありません。

 

そのため情報収集から、実際の手続まで負担が大きく、ストレスになることもあります。

そこで不動産登記の専門家である司法書士に依頼するかどうかで悩む方もおられるのではないでしょうか。

 

結論として、「相続財産が「不動産」と「預貯金」のみで、どこに在るのかが分かっている。

しかも、すべての相続人との間で分割の方法がはっきりとしているような場合」には、ご自身で相続登記手続をおこなうことはそう難しくありません

 

ただ、次のような場合には、司法書士などの専門家に依頼されることを検討した方が良いかもしれません。

 

  チェックリスト|司法書士に依頼した方が良いケース  
次の項目にチェックがつく場合、司法書士にまずは相談してください。
  • 相続財産を把握していない
  • 相続不動産が相続人の住まいから遠方にある
  • 相続人が誰か分からない
  • 相続人と疎遠、関係性が悪い
  • 相続が繰り返し発生している(数次相続)
  • 相続税がかかる可能性がある(相続財産の評価額が高い)
  • 自筆の遺言書が見つかった
  • 相続手続に時間がとれない
  • 亡くなった親族に借金があった

2.ざっくり解説! 相続登記の手続の内容

相続登記は、亡くなられた親族が所有する不動産について、相続人等が所有権を取得した場合に、その名義変更をおこなうための法務局の手続を言います。

必要書類をそろえ、作成した登記申請書と合わせて、対象不動産を管轄する法務局に提出します。

必要書類は、① 亡くなられた親族が生まれてから亡くなるまでの戸籍、② 亡くなられた親族の住民票(除票)、③ 各相続人の戸籍、④ 対象不動産の固定資産評価証明書が必要になります。
これらは、役所に窓口または郵送で請求し、取り寄せをおこないます。

あとは、亡くなられた親族が遺言書を残していた場合には「遺言書」を、無ければ遺産分割をおこなった際の「遺産分割協議書と印鑑証明書(相続人全員分)」が必要になります。

相続の事情により、必要書類は異なってきますので、複雑な事情がある場合には司法書士に相談されると良いでしょう。

 

 

相続登記手続の概要
申請先

相続不動産の所在地を管轄する法務局

 参照

管轄のご案内-法務局

不動産の所在を管轄する法務局を探すには、電話で最寄りの法務局に確認するか、法務局のホームページからご確認ください。

詳しくはこちら

必要書類(基本)
  1.  亡くなられた親族が生まれてから亡くなるまでの戸籍

  2.  亡くなられた親族の住民票(除票)

  3.  各相続人の戸籍

  4.  対象不動産の固定資産評価証明書

必要書類の費用

数千円程度~

  • 戸籍謄本  450円

  • 除籍謄本  750円

  • 改正原戸籍 750円

  • 固定資産税評価証明書 役所により異なる

  • 住民票   役所により異なる

  • 印鑑証明書 役所により異なる

登記申請費用(登録免許税) 固定資産評価証明書の評価額の0.4%
手続期間(登記申請) 1か月程度
相続登記申請の期限

①相続人、②遺言書による贈与(遺贈)を受けた方は、自身のために相続が開始、遺贈があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内(改正不動産登記法76条の2第1項)

 

③遺産分割による取得者については、遺産分割の日から3年以内(改正不動産登記法76条の2第2項)

3.相続登記の準備

相続登記をおこなうにあたり、「何を、どこまで」行動しなければいけないのかは、「相続の方法」により変わってきます。

 

相続登記申請について、遺言書による相続の場合、法律で定められている相続分そのままで相続する場合、相続人全員でおこなう遺産分割協議による場合に分けて説明します。

 

  • A 遺言書」どおりに分割

  • B 法律で定められた割合」で分割

  • C 相続人全員の話し合い」で分割

 

なお、A「遺言書」どおりに分割する場合、注意が必要です。
遺言書の形式は、法律で厳格に定められていて、その形式にそっていない場合には効力が「無効」となってしまいます。

残されていた遺言書が公証役場で作成された「公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)」であれば、元裁判官や検察官といった法律の専門家が作成するため、特に法律上、有効であるか無効であるか問題となることはほぼありません。

一方で、自筆で書かれた遺言書は法的に有効かどうかの判断が必要になります。
もし、法律的に無効な遺言書である場合には、相続人全員で分割方法について話し合いをすることになります。

上記の相続パターン別の、相続登記申請までの流れは次のとおりです。

相続人調査から、遺言書や遺産分割協議にもとづく相続登記の申請までの対応方法についてのチャート図です。

 

3-1.相続登記の必要書類

相続登記に必要となる書類は、法務局に提出する申請書などご自身で作成いただくもの、役所などで取り寄せをおこない収集する書類があります。

「順序」と作成/取寄せ「必要書類」 作成・取寄せ先 内 容
① 遺言書の検認手続 [手続] 家庭裁判所 ※自筆で書かれた遺言書の場合、家庭裁判所で「検認」と呼ばれる手続をおこなう必要があります。
② 被相続人の住民票除票/戸籍の附票 [取寄せ] 被相続人の住所/本籍地のある役所

亡くなられた親族(被相続人)の住所が分かる資料として必要です。

③ 被相続人の出生から死亡までの戸籍等 [取寄せ] 被相続人の本籍地の役所

※遺産分割協議をおこなう場合、相続人全員が参加する必要があります。
※遺言書にもとづいて相続登記をおこなう場合、被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本

④ 相続人全員の戸籍(謄本/抄本) [取寄せ] 相続人の本籍地の役所

 

⑤ 不動産を相続する相続人の住民票 [取寄せ] 相続人の住所がある役所

登記情報に所有権者の住所地情報を記載するため必要です。

⑥ 相続関係説明図 [作成] 申請者が作成

亡くなられた親族と、その相続人の関係図を示した図です。
法務局で無料交付が受けられる法定相続情報一覧図の作成サンプルが公式ホームページにあるのでそちらを参考にすると良いでしょう。

⑦ 遺産分割協議書 [作成] 申請者が作成

※遺産分割の話し合いをおこなった場合

⑧ 相続人全員の印鑑証明書 [取寄せ] 相続人の住所がある役所

※遺産分割の話し合いをおこなった場合

⑨ 固定資産評価証明書 [取寄せ] 相続不動産の所在を管轄する役所/都税事務所

登記申請時に納める登録免許税の計算のために必要です

⑩ 登記申請書 [作成] 申請者が作成

[購入] 収入印紙:最寄りの郵便局など

⑪ 委任状、収入印紙 [取寄せ] 被相続人の本籍地の役所

司法書士など代理人に依頼する場合は委任状が必要です。

3-2.登記手続の費用

登記手続をおこなう際に、法務局に納める費用のことを「登録免許税」と言い、収入印紙で納めます。

登録免許税の額は「不動産の価格の0.4%」です。

 

不動産の価格と登録免許税の例
1,000万円 登録免許税 4万円
3,000万円 登録免許税 12万円
5,000万円 登録免許税 20万円
1億円 登録免許税 40万円
3億円 登録免許税 120万円

 

3-4.相続登記の手続にかかる期間

相続登記申請後、法務局での審査が終わるまでは「約1週間」です。
ただし、複雑な相続のケースでは、これ以上時間がかかることもあります。

これ以上に、時間を必要とするのが「登記申請前の準備」です。
2022年には、普通郵便の土曜日配送の停止、郵送完了までの期間が延びたこともあり、戸籍を郵送で取り寄せでおこなおうとした場合には、かなりの時間がかかるようになりました。

そのため、相続人が多数に渡るような場合には、相続人調査に2か月以上かかることもあります。


また、同時に相続財産の所在や内容に関する調査を進めるとなると、かなりの手間がかかります。
相続財産調査の結果により、借金が多い場合には相続権の放棄手続を家庭裁判所に期限内にとることも検討しなければなりません。

図表 相続手続のタイムスケジュール

相続後に必要となる手続・登記の期限について一覧にしています。

相続手続は、財産や負債の調査だけではなく、相続財産調査により判明した内容に応じて、家庭裁判所や法務局、市役所に対して手続を、定められた期限内におこなう必要があります。

そのため、いかに効率よく手続を進められるかが重要になります。

4.相続手続の進め方

 

不動産の相続登記をおこなうまでの、相続手続について確認しておきましょう。

 

4-1.相続手続の流れ

相続手続を進めるにあたり、まずは遺言書を探すところから始めます。


これは遺言書がある場合と、ない場合でその後の相続手続の流れが変わるためです。
遺言書がある場合には、その内容にもとづいて遺産分割をおこないます。
(遺言書が無効である場合や、その内容を争う場合には、遺産分割協議をおこなうか、裁判所で争った結果により手続を進めます。)

なお、遺言書がどこにあるのか調べる方法については、次のコラムをご覧ください。

関連コラム

  • 相続があった際の「遺言書」の調べ方 自宅、法務局、公正証書役場に遺言書が保管されていないかについて確認する方法をご紹介しています。
    • 遺言書の調べ方、探し方は大きく分けて3つ

    • 法務局に照会(自筆証書遺言書保管制度にもとづく照会)

    • 公証役場に照会(遺言検索システムによる照会)

    • 被相続人の自宅・居所・介護施設などを探すまとめ(遺言書の調査を含めた遺産整理のフルサポート)

 

4-2.相続人を確定する(相続人調査)

遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割協議(話し合い)をおこないます。
「相続人全員」が参加する必要があるため、亡くなられた親族の出生から死亡までの戸籍などを役所で取寄せて、相続人となる方を確定させます。

相続人となれる人は、法律で決まっています。
また、相続の割合(法定相続分)も同じく定められています。

図表:相続人となる人と、相続の割合

相続順位 法定相続人と法定相続分
第1順位
子(直系卑属)がいる場合
配偶者
1/2

1/2(人数で等分)
第2順位
子(直系卑属)がおらず父母など(直系尊属)がいる場合
配偶者
2/3
父母
1/3(人数で等分)
第3順位
子(直系卑属)・父母など(直系卑属)がおらず、兄弟姉妹のみの場合
配偶者
3/4
兄弟姉妹
1/4(人数で等分)

 

なお、相続人調査については、次のページで詳しく解説しています。

関連ページ

  • 相続人調査

    相続にあたり必要な準備のひとつ、相続人調査について解説します。

 

4-3.相続財産調査

相続人調査と並行して、遺産分割協議の対象となる「相続財産」についても調査をおこないます。
相続財産は次のものが対象となります。

プラスの相続財産の例

種類 探す先 内 容
現金/動産(貴金属・宝石)/絵画など 居所、自宅など 自宅の書棚、仏壇などを探します。
不動産 居所、自宅、経営する会社近くの市役所、法務局

不動産の所在がまったく分からない場合、自宅に毎年固定資産税の通知書が届くため、市役所からの書類が届いていないか確認します。

また、過去の住所地を含めて、市役所に固定資産課税台帳を被相続人名義で調べてもらい、名寄せ帳として交付を受けます。但し、名寄帳は行政単位でしか調べることができません。

そこで、令和6年4月から、所有権の登記名義人となっている不動産の所有不動産記録証明書として交付する「所有不動産登録証明制度」が開始されることになりました。
詳しくは、次のコラムをご覧ください。

 参照コラム

相続財産調査で大きなメリットがある「所有不動産登録証明制度」とは?

「所有不動産登録証明制度」は、所有権の登記名義人となっている不動産の一覧を「所有不動産記録証明書」として交付する制度です。これまで、不動産の所在地の役所に照会をかけなければ分かりませんでした。令和6年4月から開始予定の当制度では「人」に紐づく所有不動産情報を取得できるため、相続財産調査などで利用することが可能です。

詳しくはこちら

預貯金 過去の住所を含む周辺金融機関

周辺の金融機関に対して照会をおこないます。最寄りの金融機関支店窓口でも対応可能な場合もあります。

有価証券 証券保管振替機構
信託銀行
証券会社 など

上場株式に関する照会は証券保管振替機構におこなうことで判明する場合もあります。また証券会社等からの郵便物が届いていないかを確認します。

 参照コラム

被相続人保有の上場株式の調べ方(証券保管振替機構、ほふりへの照会方法)

上場株式を保有していないか、確認する方法はこちらをご覧ください。

詳しくはこちら

リゾートクラブ会員権 自宅/会社など

郵便物、会員権がないか自宅などを探します。

自動車 自宅/会社など 車検証で所有者かどうかなどの確認をおこないます。
特許権/著作権/商標権 特許庁ホームページなど

特許、著作物の権利、ロゴマークや商品名についての権利も相続の対象です。

例えば、特許は遺産分割協議書などをもとに特許庁へ移転登録申請書を提出するなどして、特許権者の名義変更をおこないます。

借地権・借家権 自宅/会社など 土地、建物について、借りる権利も相続の対象になります。
居所、自宅、会社などに賃貸借契約書などがないか、通帳からの支払いや引き落としがないか取引明細を確認します。
賃貸人の地位 自宅/会社など

賃貸マンションのオーナーなどの地位も相続の対象になります。

居所、自宅、会社などに賃貸借契約書などがないか、通帳からに複数の個人名や管理会社と思われるような企業からの振り込みがないか、取引明細も確認します。

 

マイナスの相続財産の例

消極財産 具体例
① 負債 借金、買掛金、住宅ローン、小切手など
② 税金関係 未払いの所得税と住民税、その他未払いの税金(固定資産税など)
③ その他 未払いの家賃と地代、未払いの医療費、慰謝料、損害賠償金など

 

なお、相続財産の具体的な進め方については次のページでご紹介しています。

関連ページ

  • 相続財産調査

    相続財産の対象は、預貯金などのプラスの資産だけでなく、借金などの負債、賃貸マンションのオーナーなどの地位も相続の対象となります。具体的な調査方法について解説します。

4-3.遺産分割の協議、調停

遺産分割についての進め方は、① 話し合い(遺産分割協議)、② 話し合いがまとまらなければ裁判手続となります。

遺産分割にあたって気を付けなければいけないのは「期限」です。

法律上、相続権を放棄する、相続税を納める、といった期限を設けています。
家庭裁判所の「相続放棄」は自身に相続があったことを知ってから原則3か月以内、税務署に相続税申告は原則10か月以内におこなうことになります。

「原則」という点がポイントで、いずれも例外があります。

借金がある場合におこなうことの多い相続放棄については、自身の相続を知ってから3か月以内に相続人調査が終わらない場合には、相続放棄の熟慮期間の伸長の申し立てができます。

また、遺産分割について話し合いがまとまらない場合、相続税申告についてはまずは現状判明している範囲で申告をおこない、あとから修正申告をおこなうことができます。


なお、その申告の際に気を付けておきたいのが「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出です。

小規模宅地等の特例等の適用を受けるためには提出が必要です。

この特例は簡単に言えば、土地の評価額を8割減で評価できるため、大幅に相続税額を減らせる可能性がある特例です。

税務申告は、税理士を思い浮かべますが、実は税理士にも得意分野があります。
当事務所では「相続税」を得意とする、しかも「相続トラブルのからむ相続税申告」にも強い弁護士資格をもつ税理士とも連携して問題解決に当たることが可能です。
安心して相続問題をまとめてご相談ください。

4-4-1.遺産分割調停申立(家庭裁判所)

遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます。

裁判所というと、主張を戦わせるイメージですが、調停手続は裁判所から任命された「調停委員」が間にはいって話し合いを進める手続です。
つまり、話し合いの場を裁判所に変えたものです。

しかし、相続人全員が参加しなければならず、相続人がひとりでも協力せず出頭しない場合には調停は不成立となり終了します。
そうなると再び相続人間で遺産分割協議をおこなうか、調停ではなく「裁判」を起こすことになり、長期化していくこととなります。

 

5.相続登記手続

遺産分割の内容が定まれば、相続不動産の名義変更手続をおこないます。

 

登記手続の際、必要書類は① 遺言書にもとづく場合、② 法律で定められた割合による場合、③ 遺産分割による場合で異なります。

 

5-1.必要書類|遺言書にもとづく相続登記の場合

次の書類の作成、申請書に添付する資料の収集などが必要になります。

遺言書に基づく相続登記の必要書類チェックリスト
登記申請書 [作成] 申請者が作成
相続関係説明図 [作成] 申請者が作成
収入印紙 [購入] 最寄りの郵便局など
不動産の固定資産評価証明書 [取寄せ] 相続不動産の所在を管轄する役所/都税事務所
委任状 [作成] 司法書士など代理人に依頼する場合は委任状が必要です。
亡くなった親族の戸籍謄本など [取寄せ] 被相続人の本籍地の役所
亡くなった親族の住民票除票または戸籍の除附票 [取寄せ] 住民票除票:被相続人の住所がある役所、戸籍の徐附票:被相続人の本籍地であった役所
不動産を取得する相続人の戸籍謄本 [取寄せ] 相続人の本籍地の役所
不動産を取得する相続人の住民票 [取寄せ] 相続人の住所がある役所
遺言書 [準備] 公正証書、または家庭裁判所で検認済の自筆証書遺言書

 

5-2.必要書類|法定相続で定められた割合による相続登記の場合

次の書類の作成、申請書に添付する資料の収集などが必要になります。

法定相続で定められた相続登記の必要書類チェックリスト
登記申請書 [作成] 申請者が作成
相続関係説明図 [作成] 申請者が作成
収入印紙 [購入] 最寄りの郵便局など
不動産の固定資産評価証明書 [取寄せ] 相続不動産の所在を管轄する役所/都税事務所
委任状 [作成] 司法書士など代理人に依頼する場合は委任状が必要です。
亡くなった親族の出生から死亡までのすべての戸籍謄本など [取寄せ] 被相続人の本籍地の役所
亡くなった親族の住民票除票または戸籍の除附票 [取寄せ] 住民票除票:被相続人の住所がある役所、戸籍の徐附票:被相続人の本籍地であった役所
相続人全員の戸籍謄本 [取寄せ] 相続人の本籍地の役所
相続人全員の住民票 [取寄せ] 相続人の住所がある役所

 

5-3.必要書類|遺産分割による相続登記の場合

次の書類の作成、申請書に添付する資料の収集などが必要になります。

遺産分割協議による相続登記の必要書類チェックリスト
登記申請書 [作成] 申請者が作成
相続関係説明図 [作成] 申請者が作成
収入印紙 [購入] 最寄りの郵便局など
不動産の固定資産評価証明書 [取寄せ] 相続不動産の所在を管轄する役所/都税事務所
委任状 [作成] 司法書士など代理人に依頼する場合は委任状が必要です。
亡くなった親族の出生から死亡までのすべての戸籍謄本など [取寄せ] 被相続人の本籍地の役所
亡くなった親族の住民票除票または戸籍の除附票 [取寄せ] 住民票除票:被相続人の住所がある役所、戸籍の徐附票:被相続人の本籍地であった役所
不動産を取得する相続人の住民票除票または戸籍の除附票 [取寄せ] 住民票除票:相続人の住所がある役所、戸籍の徐附票:相続人の本籍地であった役所
相続人全員の戸籍謄本 [取寄せ] 相続人の本籍地の役所
遺産分割協議書 [作成] 申請人らが作成
相続人全員の印鑑証明書 [取寄せ] 相続人の住所がある役所

 

5-4.相続登記の共通の必要書類

相続登記にはいくつかパターンがあります。そして、上記のように登記申請の際に必要となる共通の必要書類があります。

5-4-1.被相続人・相続人の住民票の取り寄せ方

相続をされる被相続人、相続をする相続人の住民票が必要となります。

これらは、住所のある役所で取り寄せをおこないます。

 

一度は、住民票の交付を受けたことがあると思いますが、どのような内容・項目が記載されていたか思い出せるでしょうか。

住民票の記載項目は、特に申し出をしなければ記載されない項目があります。

なお、登記申請用の住民票を取得する場合、「本籍地」の記載がある住民票が必要となります。

交付申請の際には「本籍地の記載がある戸籍」が必要であることを忘れないようご注意ください。

 

亡くなられた人の住民票を「住民票除票(じゅうみんひょうじょひょう)」と言い、相続登記の名義変更の場合には必要となる資料です。

相続不動産の所有者であった被相続人の住民票除票が必要となります。

住民票除票には「亡くなられたこと」「死亡年月日」が記載されており、相続が開始したことが分かります。

 

なお、被相続人の住所が、登記に記載されている住所と異なる場合には、死亡時の住所までのつながりのとれる「戸籍の附票(ふひょう)」を取寄せます。

戸籍の附票は、本籍地のある役所で交付を受けることができます。これには、住所の履歴が記載されます。
なお、戸籍の附票も、被相続人の死亡後に「戸籍の除附票(じょふひょう)」と呼ばれることがあります。

 

こうした、住民票(除票)、戸籍の附票とよばれる住所を証明するものは役所の窓口、郵送にて取り寄せすることが可能です。

住民票(除票)は、役所(自治体)により料金設定が異なりますが、おおよそ300円ほどです。

戸籍の附票は全国一律での価格で300円(2022年8月1日現在)です。

なお、いずれもコンビニエンスストアなどでの発行をおこなっている場合もあり、価格も通常価格よりも安く手に入れることがあります。

5-4-2.被相続人が死亡の記載がある戸籍(除籍)の取り寄せ方

被相続人の戸籍は、本籍地のある役所で取得します。

本籍地にある戸籍は、結婚、死亡、転籍(本籍地を変える)、新戸籍編成(婚姻などで戸籍をあらたに作成する)などの情報が記載されています。
相続の場面では、相続人調査をおこなうために戸籍をたどることがあります。

除籍(じょせき)とは、その戸籍に結婚や戸籍などにより「誰もいなくなった」戸籍のことを言います。
保存期間は、全員が除籍になった年度の翌年度から150年です。
なお、この保存期間は平成22年6月1日以降のもので、それより以前の戸籍の保存期間は短く、既に廃棄されている可能性があります。

なお、戸籍の収集・読み方については次の当事務所コラムでも紹介しています。
よろしければご覧ください。

関連コラム

5-4-3.不動産の固定資産評価証明書の取り寄せ方

相続する不動産の固定資産評価証明書は、法務局に納める登録免許税(国に納める税金)を計算するために必要となります。

 

不動産の所在地のある役所に取り寄せをおこないます。

なお、不動産の所在が東京都内23区の場合には都税事務所に取り寄せをおこないます(郵送は、都税証明郵送センター)。

 

注意が必要なのは、相続登記を申請する年度の評価証明書を取得することです。

不動産の評価額は、毎年4月1日に変更されます。

そのため、亡くなられた年度ではなく、最新の評価証明書が必要となりますので、気をつけてください。

 

登録免許税は次の通り、計算します。

 

  • 登録免許税

     課税標準×税率(0.4%)

 

「課税標準」は、固定資産評価証明書の「評価額」です。

 

上記の計算式にあてはめ、計算した金額の1,000円未満の金額は切り捨てます。例えば、計算後の金額が、99万9,999円であれば99万9,000円を登録免許税として納めることになります。

切り捨てたあとの金額が1,000円未満の場合には、最低額が1,000円となります。

 

5-4-4.戸籍謄本など書類の原本還付手続

相続登記申請の際に提出した、戸籍や住民票などの原本について、申請すれば返還を受けることができます。
この手続を原本還付(げんぽんかんぷ)と言うことがあります。

 

なお、この手続は、戸籍謄本などであれば「相続関係説明図を作成して提出する」、その他の原本類であれば還付をうけたい「資料の写し」をつけて、その写しに「上記は原本と相違ありません」と記載し、署名と登記申請書に押印した同じ印鑑を押して提出します。

 

  • 原本還付可能な書類例

    戸籍謄本 / 住民票 / 印鑑証明書 / 固定資産評価証明書 / 遺言書 / 遺産分割協議書など

 

この還付手続をおこなっておくことで、遺産整理手続(預貯金口座の名義変更など)で、再利用することができ、とても便利です。

6.相続登記申請書の作成

不動産登記申請書に記載する項目や形式については、一定の決まりごとがあります。 法務局のホームページに一定の書式のサンプルも用意されています。

 

  参照情報|法務局公式ホームページ  

 

登記申請書に記載しなければならない項目は、次のものがあります。

6-1.相続登記に記載が必要な項目

「登記の目的」

所有している不動産の所有権を、今回の相続により取得した方に移転します。

多くの場合「所有権移転」を登記の目的として記載します。

 

ただ、相続対象の不動産が、被相続人を含めて複数人で共有されている場合(共有名義と言います)で、被相続人の所有権の持分(もちぶん)をすべて移転する際は「[被相続人名]持分全部移転」のように記載します。

「原因」

何が原因で、今回の登記申請をおこなうことになったのか、その原因について記載します。

今回は相続によるので「令和〇年〇月〇日 相続」と記載します。
年月日の箇所は、被相続人の死亡年月日になります。

「相続人」

次のように記載します。

 

    相続人 (被相続人 明石 太郎)

  住所 明石市大久保町○○○丁目○○番○○号

     持分2分の1

  氏名 明石 一郎

 

被相続人を「( )」ではさんで記載し、その下に相続不動産を取得する相続人の住所・氏名を記載します。
この住所は「住民票」に記載された表示のとおり記載してください。

 

法務局では、提出された公的な書類と同一性をとりながら進めます。
そのため、記載が異なると手続が止まることがありますので、注意が必要です。

「添付書類」

添付書類として記載するのは「登記原因証明情報」「住所証明情報」になります。

さきほど、登記申請書に添付する必要書類として、相続関係説明図、戸籍、住民票、遺言書(遺言に基づく登記申請の場合、遺産分割協議書(遺産分割による登記申請の場合)などを挙げました。

こうした書類は、登記の原因である「相続」を証明するものとして、まとめて「登記原因証明情報」と言います。

 

また新たに、不動産の所有者となる相続人について、登記上に表示をおこなうため住民票を提出しますが、これを「住所証明情報」として記載します。

「申請年月日」

登記申請に記載する日付は、窓口申請の場合にはその日、郵送の場合には作成日を記載します。

「申請先法務局」

相続不動産の所在を管轄する法務局に提出します。
なお、例えば相続不動産が大阪府大阪市、東京都文京区にある場合、それぞれの不動産を管轄する法務局にそれぞれ提出します。

 

  参照情報|法務局公式ホームページ  

 

それでは、一般的な相続登記申請の書式のパターンについて解説します。

6-2.遺言書にもとづく相続登記申請書の書式サンプル

遺言書にもとづく相続登記申請書のサンプルは次のとおりです。

相続登記_遺言書にもとづく相続登記サンプル

6-3.法定相続分による相続登記申請書の書式サンプル

民法で定められた相続人の割合(法定相続分)のままおこなう相続登記申請書のサンプルは次のとおりです。

相続登記_法定相続分にもとづく相続登記サンプル

6-4.遺産分割協議による相続登記申請書の書式サンプル

相続人全員で遺産分割の話し合いをおこない、不動産の取得について決められた場合の遺産分割協議書にもとづく相続登記申請書のサンプルは次のとおりです。

相続登記_遺産分割にもとづく相続登記サンプル

7.相続登記申請の流れ

相続登記申請書が準備できれば、法務局に申請書を提出します。
登記申請書を提出すると、「受付年月日・受付番号」が取られ、およそ1週間~で登記が完了します。

相続登記の申請方法は、提出先である不動産の所在を管轄する法務局に「直接、窓口提出」「郵送」があります。

 

相続登記申請から登記完了までの流れ

相続登記申請後から登記完了までの法務局での流れ

却下…法務局の登記官により「登記申請を認めない」と判断されたもの。

補正…登記申請に不備があり

 

相続登記申請については義務であり、期限があります。
くわしい、相続登記の期限などについては次のコラムをご参照ください。

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7-1.相続登記申請書の提出

窓口に直接持ち込み申請をおこなう場合には、申請書一式だけではなく「印鑑」も持参してください。

 

申請書に押印した印鑑と同じものです。
窓口で申請書の確認を受けた際に、その場で訂正を指示されることもあります。


なお、受付番号が発行されます。
また、登記完了予定日も窓口で確認することができますので、メモしておきましょう。

一方で、郵送による登記申請の場合には、管轄の法務局のWEBサイトで確認することもできます。
ただ、直接法務局で電話にて確認することも可能です。

 

  参照情報|各法務局の登記完了予定日確認用サイト例   Web上での登記完了予定の情報の提供をしている場合、Google/Yahoo!などの検索エンジンで「○○法務局 登記完了予定日」で検索する検索結果に表示されることが多いです。

7-2.登記受付後に補正(訂正の指示)がある場合

相続登記申請書に記載している連絡先に、法務局から補正の連絡があります。

その際には、指示に従い訂正あるいは書類を作成しなおして提出します。

窓口で補正をおこなうような場合には、登記申請書に押印した印鑑を持参するようにしましょう。

7-3.登記完了後の書面「登記識別情報通知」の受け取り

所有者となったことを証明する書面「登記識別情報通知」を窓口、或いは郵送で受け取ります。

なお、郵送の場合には、登記申請書送付の際に同封する返信用封筒を「本人限定受取」郵便にしておくなど、確実に受け取りができるようにしておきましょう。

8.登記完了後にやるべきこと

登記完了後に、手元にもどってくる書類は次のものがあります。

「登記識別情報通知」

不動産1筆につき、各所有者に1通が発行されます。
再発行を受けることはできません。


ただ紛失したからといって、所有者ではなくなるとか、以降の登記申請ができなくなるということはありませんので安心してください。


受け取った登記識別情報通知に、不動産の所在、住所・氏名などについて誤記がないかをきちんと確認しておきましょう。

 

「登記完了証」

登記が完了した際の通知書になります。

 

8-1.相続不動産の登記事項証明書を取得する

きちんと登記されているかを確認するために、法務局で登記事項証明書を取得しておきます。


登記原因の「相続開始日」、「氏名」「住所」「持分」「受付番号」「受付年月日」などについて確認をおこないます。

仮に、登記内容が法務局側によるミスであれば、登記官において職権で修正の登記がおこなわれます。
再度、登記申請する必要はありません。

 

9.相続登記のまとめ

相続登記の申請には、書類の収集や申請書をはじめとする書類の作成までさまざまです。
令和6年4月1日から相続登記は義務とされていて、期限までにおこなわないと過料10万円の制裁を受ける可能性があります。
この施行日より前の相続不動産においても同様の登記義務があるため、変更登記をすませていない場合には対応する必要があります。

「普段より時間がない」、「資料の収集やそれに基づく書類の作成に不安・負担」を感じる方は、上垣司法書士事務所までご相談・ご依頼ください。

登記申請前のご相談から、登記完了後の必要書類の受け取りから確認、完了までをトータル・フルサポートいたします。

 

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