先代名義のまま放置していた不動産の相続登記│相続登記シリーズ 明石市の相続相談専門窓口


登記手続

執筆者 司法書士 上垣 直弘


  • 兵庫県司法書士会登録番号 第1549号
  • 簡易裁判所訴訟代理認定番号 第712178号

日頃、東播磨地域(明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)や淡路市、神戸市にお住まいの個人、中小企業の方から不動産登記手続を中心に年間100件以上のご依頼を受けています。中でも遺産整理手続の依頼は多く、これまで遺産の名義変更や処分、不動産の相続登記を数多く取り扱った実績があります。

先代名義のまま放置していた不動産の相続登記

 

今の民法および不動産登記法という法律では、「相続登記をいつまでにおこなわなければならない」という決まりがありません
そのため、亡くなった先代名義のまま放置された不動産が少なからず存在します。

 

そのような場合、不動産の名義人が亡くなってから数年から数十年の期間が経過してることも多く、相続登記がなされないまま第2、第3の相続が発生(数次相続)しているケースも見受けられます。


こうした場合に、相続人が多数にわたり、その方々の所在も散らばってしまっていることも多いため、いざ相続登記をおこなおうとした際に大きな負担になる場合があります。

ここでは、先代名義のまま放置された不動産の相続登記の方法について解説します。

 

数次相続とは

 

数次相続とは、既に開始した相続による所有権移転登記(相続登記)が未了のあいだに、その相続人が死亡し第2次、第3次の相続が開始した場合をいいます。

たとえば、下記の図表のように、登記名義人であるAが亡くなり、

相続人がその子BおよびCの場合に、

BおよびCへの相続登記がなされないままBおよびCが亡くなったケースがこれにあたります。

 

図表 数次相続とは(相続関係図)

図表 数次相続とは(相続関係図)

 

「代襲相続」との違い

 

「代襲相続」とは、推定相続人(相続が開始した場合に、最優先順位で相続人となる者)が、
相続の開始以前に死亡した場合、
相続欠格や推定相続人の廃除、によって相続権を失った場合に、推定相続人が受けるはずであった相続分を、その子(直系卑属)が承継することをいいます。

 

代襲相続は、被相続人の子(直系卑属)について発生する場合と、被相続人の兄弟姉妹について発生する場合があります。(民法887条2項889条2項

 

図表 子(直系卑属)についての代襲相続のイメージ

図表 子(直系卑属)についての代襲相続のイメージ

 

「数次相続」は、被相続人甲→相続人(被相続人の子A)→相続人の相続人(Aの子B)と、

それぞれの死亡により順に相続権が移っていきます。

 

これにに対し、「代襲相続」は、被相続人が亡くなった時点において、「死亡」「相続欠格」「相続人廃除」により相続人が相続権を有していないため、

本来であれば相続人の相続人であるBに相続権はいかないはずですが、民法という法律の規定によってAが受けるはずであった相続分を相続することが認められています。

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数次相続の登記手続

 

ここでは数次相続の具体的な登記手続について解説します。

数次相続の登記手続の原則

 

数次相続の登記手続は、第1次の相続登記、第2次の相続登記を順次おこなうことが原則となります。

 

先の例(図表:数次相続)でいうと、以下のような流れで登記手続をおこなうことになります。

① 登記名義人Aの死亡によるBおよびCへの相続登記

② Bの死亡によるDへの相続登記(B持分全部移転登記)

③ Cの死亡によるEへの相続登記(C持分全部移転登記)

登記申請書の記載例

 

① 登記名義人A→1次相続人B・Cへの相続登記の記載例

 

①登記名義人A→1次相続人B・Cへの相続登記の記載例

①登記名義人A→1次相続人B・Cへの相続登記の記載例

 

② 第1次相続人B → 最終相続人Dへの相続登記申請書の記載例

②第1次相続人B→最終相続人Dへの相続登記申請書の記載例

②第1次相続人B→最終相続人Dへの相続登記申請書の記載例

 

③ 第1次相続人C → 最終相続人Eへの相続登記申請書の記載例

 

③第1次相続人C→最終相続人Eへの相続登記申請書の記載例

③第1次相続人C→最終相続人Eへの相続登記申請書の記載例

 

数次相続の登記手続の例外

 

例外として、中間の相続が単独相続の場合は、中間の相続登記を省略して、第1次の相続の被相続人(不動産の登記名義人)から、直接現在の相続人(最終の相続人)に相続登記をおこなうことができます。

 

次に、「中間の相続が単独相続」のケースのついて解説します。

 

中間の相続が単独相続の場合の具体例

① 中間の相続人が相続開始時から1人だけの場合

登記名義人であるAが死亡し、その相続人がBのみ(単独相続)の場合において、Bへの相続登記がなされないままBが死亡した場合、Aから直接Bの相続人であるCに相続登記をおこなうことができるとされています。

なお、最終の相続人が複数人の場合、たとえばBの相続人がCおよびDである場合でも、直接AからCおよびDへの相続登記をおこなうことができます。

 

図表 最終の相続人に直接相続登記ができる場合の例 ①

図表 最終の相続人に直接相続登記ができる場合の例 ①

 

図表 最終の相続人に直接相続登記ができる場合の例 ②

図表 最終の相続人に直接相続登記ができる場合の例 ②

② 中間の相続人が複数であったが、遺産分割協議により1人になった場合

登記名義人Aが死亡し、その相続人がBCである場合において、BC間の遺産分割協議によりBが単独で相続したが、その相続登記がなされない間にBが死亡したときは、Aから直接Bの相続人(CD)に対し相続登記をおこなうことができます。

 

③ 中間の相続人が複数であったが、相続放棄により1人になった場合

登記名義人Aが死亡し、その相続人がBCである場合において、Cの相続放棄によりBが単独で相続したが、その相続登記がなされない間にBが死亡したときは、Aから直接Bの相続人(CD)に相続登記をおこなうことができます。

 

④ 中間の相続人が複数であったが、特別受益者以外の相続人が1人である場合

登記名義人Aが死亡し、その相続人がBCである場合において、Cが相続分を超える特別受益者()である場合に、AからBへの相続登記がなされない間にBが死亡したときは、Aから直接Bの相続人(CD)に相続登記をおこなうことができます。

特別受益者とは、「相続人であって被相続人から遺贈を受け、または被相続人の生前に婚姻・養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けた者」のことをいいます。
被相続人から受けた遺贈または贈与の価額が、相続分の価額に等しいか、または相続分の価額を超えるときは、遺贈または贈与を受けた相続人は、その相続分を受けることができないとされています。(民法903条)

 

登記申請書の記載例

 

※中間の相続登記を省略して、直接最終相続人へ相続登記をおこなう場合の記載例

 

図表 中間の相続登記を省略による直接最終相続人へ相続登記

図表 中間の相続登記を省略による直接最終相続人へ相続登記

 

※1 第1次相続である被相続人Aの死亡日を記載。登記名義人であるAの死亡によりB(中間の相続人)が相続したことを表示する。

※2 第2次相続であるBの死亡日を記載。

※3 被相続人は登記名義人であるAを記載。

   相続人は最終の相続人であるDを記載。最終の相続人は複数人でもよい。

 

相続登記の義務化

 

現在の民法および不動産登記法という法律では、「相続登記をいつまでにおこなわなければならない」という決まりがないため、相続登記をおこなうかどうかは相続人の任意であり罰則もありません。

 

しかし、2021年4月に相続登記を義務化する法改正がなされ、2024年までに施行される予定となっています。

 

具体的には、相続人が相続または遺贈で不動産を取得したことを知ってから3年以内に相続登記を申請することを義務化し、違反した場合は10万円以下の過料の対象となる予定です。

 

相続登記の放置リスク

 

相続登記を放置した場合のリスクとして、以下のようなケースが考えられます。

不動産を相続した場合は速やかに相続登記をされることをおすすめします。

 

  • 第三者に相続不動産に対する権利を主張できない。

    (※法定相続分を超える部分については、登記をしなければ他の相続人に対しても自己の権利を主張できません。)

  • 相続不動産を売却することや、その不動産を担保に借入をおこなうことができない。
  • 相続人にさらに相続が発生することで相続人が多数にのぼり権利関係が複雑になる。
  • 登記に必要な書類が保管期間経過で入手できない。

 

相続登記のフルサポート

 

先代名義のまま放置された不動産の相続登記手続について解説してきました。

 

放置された期間が長ければ長いほど、数世代にわたって相続が発生しているなど、相続関係が複雑になる可能性が高くなります。

 

それにともない、相続登記の手続の際に必要な戸籍謄本などの書類が多岐にわたり手続の煩雑さを増加させます。

できるだけ速やかに手続をおこなうことが解決への一歩といえるでしょう。

 

明石市にある上垣司法書士事務所では、こうした相続登記手続を含め、戸籍謄本などの収集代行、遺産分割協議書の作成などの手続をサポートしています。

 

 「日々の生活で忙しく、相続にかける時間がない」

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 という相続人の方は、ぜひ当事務所までご相談ください。

 

丁寧に、きちんとしっかりと報告、連絡をおこない相続手続をお手伝いいたします。

 

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