遺産整理手続をおこなう人は知っておきたい「法定相続情報」制度
相続手続
執筆者 司法書士 上垣 直弘
- 兵庫県司法書士会登録番号 第1549号
- 簡易裁判所訴訟代理認定番号 第712178号
日頃、東播磨地域(明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)や淡路市、神戸市にお住まいの個人、中小企業の方から不動産登記手続を中心に年間100件以上のご依頼を受けています。中でも遺産整理手続の依頼は多く、これまで遺産の名義変更や処分、不動産の相続登記を数多く取り扱った実績があります。
「法定相続情報制度」とは
相続の手続で、亡くなられた方の預金口座などの解約や株式の名義変更の手続の際に相続人であるかを確認するため「戸籍謄本」などの書類一式の提出を求められています。
その手続先の法務局や金融機関が別々に調査や確認をおこなうため、それぞれに手続のたびに戸籍謄本などの書類一式を提出していました。
手続が終わると原本を返却してくれるところも多いですが、返却してもらえない場合は同じものを何通も役所で取得しなければならず、相続人にとって経済的にも事務手続の大きな負担となっていました。
これらの負担を軽減するなどの目的で、平成29年から「法定相続証明制度」が始まりました。
法務局から発行された「登記官の認証文のついた法定相続一覧図の写し」があれば、各種相続手続において戸籍関係書類一式の代わりに使用することができます。(※ただし、一部金融機関では認められない場合があります。)
例えば、被相続人が多数の金融機関に口座を持っていた場合など、手続先が多い場合にメリットとなります。
図表 法定相続情報利用による負担軽減
法定相続証明情報の取得方法
法務局から法定相続情報の発行を受けるために申請できる人は、次のとおりです。
申請できる人 |
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被相続人の相続人、資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理人、行政書士)、代理人(相続人からの委任状が必要) |
法務局で定められている申出書にあわせて、相続手続に必要な「戸籍関係の書類一式」および「法定相続情報一覧図(相続関係説明図)」を法務局に提出します。
戸籍関係の書類一式とは、主に役所で取得できる戸籍謄抄本になります。
必要な書類(他に書類が必要になる場合もあり) |
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なお戸籍謄本などの取り寄せについては、次のコラムで詳しく解説をしています。
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上記の「戸籍謄本」などと並んで申請に必要な「法定相続情報一覧図」とは、亡くなられた方との相続関係を示す家系図のようなもので、その書式のサンプルについては、法務局の公式ホームページで公開されています。
書式はMicrosoft社のofficeソフト「Excel」で提供されています。
同ソフトがない方は、無料のWeb版が用意されていますので、アカウントを取得し利用されるのも良いでしょう。
参照リンク
リンク先の「法務局」ホームページには次のような情報が記載されています。
法定相続情報一覧図の様式
法定相続情報一覧図の記載例
- 法定相続人が「配偶者」及び「子」である場合
- 法定相続人が「子のみ」である場合
- 法定相続人が「配偶者」及び「親(父母)」である場合
- 法定相続人が「配偶者」及び「兄弟姉妹」である場合
- 代襲相続が生じている場合
- いわゆる旧民法(明治31年法律第9号)下における相続が生じている場合
・隠居による家督相続及び死亡による遺産相続が生じている場合
・死亡による家督相続が生じている場合 - 法定相続人が配偶者及び子(養子を含む)である場合
法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html法定相続証明情報の実際の手続
申出書に必要事項を記入し、管轄の法務局に提出します。申請先の法務局は、次の法務局から選択することができます。
具体的には、下記を管轄する法務局になります。
1)「亡くなられた方の最後の本籍地」
2)「亡くなられた方の最後の住所地」
3)「申し出する人の住所地」
4)「亡くなられた方の名義の不動産の所在地」
「法定相続情報」取得のためのサポート
上垣司法書士事務所では、普段お仕事などで時間がとれない方のために、遺産整理のための法定相続情報取得についても代行サポートをおこなっております。
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