三菱UFJ銀行の預貯金口座の払戻し手続│遺産整理手続シリーズ 明石市の相続相談専門窓口
相続手続
執筆者 司法書士 上垣 直弘
- 兵庫県司法書士会登録番号 第1549号
- 簡易裁判所訴訟代理認定番号 第712178号
日頃、東播磨地域(明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)や淡路市、神戸市にお住まいの個人、中小企業の方から不動産登記手続を中心に年間100件以上のご依頼を受けています。中でも遺産整理手続の依頼は多く、これまで遺産の名義変更や処分、不動産の相続登記を数多く取り扱った実績があります。
「三菱UFJ銀行」における相続による払戻し手続
三菱UFJ銀行に、被相続人(亡くなられた方)の口座がある場合の、預貯金の払戻し手続について解説します。
なお、旧 東京三菱UFJ銀行、東京三菱銀行、UFJ銀行、三和銀行などの預貯金関連の書類(粗品、郵便物など)が出てきた場合には現在の「三菱UFJ銀行」に口座がある可能性が高いと言えます。
こうした場合には、被相続人の住まいの近くの本支店に照会をかけることで口座が発覚することがあります。
ただ、10年以上取引など入出金の動きがない場合には、本部移管といって取引支店では詳細な口座の状況が分からない場合もあります。
そのため窓口などで確認されると良いでしょう。
また遺産分割前の預貯金の払戻しについて、一定の場合に可能になりました(平成30年7月民法改正)。
詳しくは次のコラムなどで紹介していますので、遺産分割前の払戻しを考えている方はこちらもご覧ください。
関連コラム
- 「相続預金の払戻し制度」の解説と利用時の注意点
一般的に、遺産分割まで口座が凍結され預金を引き出すことはできません。しかし、当面の生活費や葬儀費用への支払いなど一定の場合に払い戻しが受けられるよう国が制度を設けました。
預貯金払戻しの流れ
相続預金の払戻しの流れは、次の通りです。
相続預貯金口座の確認
統廃合を繰り返し、現在「三菱UFJ銀行」となっていますが、次の銀行名での通帳・クレジットカードなどが被相続人名義で見つかった場合には、取引があったことが強く推測されるため、被相続人の死亡が分かる資料(除籍、除戸籍の附票、除票など)と、ご自身が相続人であることの証明資料(戸籍謄本など)を持参し、窓口でたずねられると良いでしょう(照会手続)。
東京三菱UFJ銀行、東京三菱銀行、UFJ銀行、三和銀行など
相続届など銀行所定の書式の入手
三菱UFJ銀行所定の「相続届」を窓口などで入手します。
なお、預貯金全部の払戻し用と、その一部のみ払戻しするための書式は異なるため注意が必要です。
また、窓口で相続書類を受領する場合にも、窓口へ訪問する場合には事前予約が必要となります。
ただ相続手続きの書類をもらいに行くだけであったとしても、口座の分かる資料(通帳)の提示を求められる場合があります。
銀行への訪問予約時に、持参書類についても確認されることをお勧めします。
▼ 預貯金全部の払戻し用の書式例
※図をクリックすると拡大します。
▼ 預貯金一部の払戻し用の書式例
※図をクリックすると拡大します。
必要書類の収集
相続人、或いは遺言書により贈与を受けた方において、窓口での被相続人が保有していた口座などの解約・払い戻しを受けるためには、相続に関する書類が必要になります。
必要書類は大きく分けて①「相続人であること」、②「対象となる被相続人名義の預貯金などを相続したこと」を証する書類の2つです。
共通で必要になる書類
次の書類の原本が必要です。
三菱UFJ銀行では、窓口で申告すると返却してもらうことが可能です(原本還付)。
なお、原本還付の取り扱いについては、各銀行により異なります。
一切原本還付をおこなわない、一部の原本のみ還付など、対応は様々です。
そのため、被相続人において複数の銀行との取引があった場合には、書類を使いまわすこともあるため、効率的な預貯金口座の解約手続のためにも、事前に各行に確認されておくと良いでしょう。
図表 三菱UFJ銀行における預貯金口座解約の共通必要書類
必要書類 | 書類の取寄先 | 内容説明 |
---|---|---|
相続届 | 三菱UFJ銀行 | 銀行窓口などで入手し、自署・実印で押印します。 |
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等 | 役所 | ※ 法務局の発行する「法定相続情報一覧図の写し」を代わりに提出することもできます。 |
相続人の戸籍謄本 | 役所 |
※ 法務局の発行する「法定相続情報一覧図の写し」を代わりに提出することもできます。 |
相続人の印鑑証明 | 役所 |
|
通帳・キャッシュカードなど |
ー |
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取引内容により必要となる書類
共通の必要書類に加えて、取引内容(例えば、貸金庫の契約があった)により追加で次の図表の内容の書類が必要となります。
図表 三菱UFJ銀行における預貯金口座解約の取引別必要書類
必要書類 | 書類の取寄先 | 内容説明 |
---|---|---|
受領書 | 三菱UFJ銀行 | 貸金庫の内容物受け取りの際必要です。 |
委任状 | 三菱UFJ銀行 | 他の相続人の方に手続を委任される場合に必要です。 |
非課税貯蓄者死亡届出書 | 三菱UFJ銀行 |
非課税貯蓄を利用されていた場合に必要です。 |
投資信託(特定口座・NISA口座)死亡届 | 三菱UFJ銀行 |
投資信託取引で特定口座、NISA口座を保有していた場合に必要です。
|
相続の方法により必要となる書類
さらに、相続の方法により必要となる書類が異なります。それぞれのケースについて確認しておきましょう。
図解 三菱UFJ銀行の相続預貯金払戻しのための必要書類
(A)遺産分割協議で、協議書がない場合
相続人全員の印鑑証明書が必要です。
共通で必要となる「相続届」には相続人全員の署名、捺印が必要となります。
但し、遺産分割協議書の中で三菱UFJ銀行の預金を相続する人が特定されている場合には、その相続人の署名、捺印で足ります。
(B)遺産分割協議で、協議書がある場合
遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書が必要です。
共通で必要となる「相続届」には相続人全員の署名、捺印が必要となります。
但し、遺産分割協議書の中で三菱UFJ銀行の預金を相続する人が特定されている場合には、その相続人の署名、捺印で足ります。
(C)裁判所の遺産分割手続による場合(和解・調停・審判)
それぞれの解決結果により、次のいずれかとなります。
- 和解調書謄本
- 調停調書謄本
- 審判書謄本および確定証明書
審判などで指定された方の印鑑証明書となります。
なお、共通で必要となる「相続届」には、審判などで指定された人の署名、捺印が必要となります。
但し、遺産分割協議書の中で三菱UFJ銀行の預金を相続する人が特定されている場合には、その相続人の署名、捺印で足ります。
(D)自筆証書遺言で、執行者がいる場合
遺言執行者の選任・指定方法により必要書類は異なります。
なお、三菱UFJ銀行所定の相続届には、遺言執行者・受遺者全員による署名、捺印が必要になります。
但し、遺言書の中で三菱UFJ銀行の預金を相続する人が特定されている場合には、その相続人の署名、捺印で足ります。
- ▽ 遺言により遺言執行者が選任・指名されている場合
- 遺言書原本(自筆証書遺言保管制度を利用の場合「遺言書情報証明書」)
- 家庭裁判所の検認済証明書
- 遺言執行者・受遺者の印鑑証明書
- ▽ 家庭裁判所により遺言執行者が選任・指名された場合
- 遺言書原本(自筆証書遺言保管制度を利用の場合「遺言書情報証明書」)
- 家庭裁判所の検認済証明書
- 遺言執行者・受遺者の印鑑証明書
- 家庭裁判所の選任に関する審判書謄本
(E)自筆証書遺言で、執行者がいない場合
次の書類が必要です。
- 遺言書原本(自筆証書遺言保管制度を利用の場合「遺言書情報証明書」)
- 家庭裁判所の検認済証明書
- 受遺者の印鑑証明書
相続届には、受遺者全員による署名・捺印が必要です。
但し、遺言書の中で三菱UFJ銀行の預金を相続する人が特定されている場合には、その相続人の署名、捺印で足ります。
(F)公正証書遺言で、執行者がいる場合
遺言執行者の選任・指定方法により必要書類は異なります。
なお、三菱UFJ銀行所定の相続届には、遺言執行者・受遺者全員による署名、捺印が必要になります。
但し、遺言書の中で三菱UFJ銀行の預金を相続する人が特定されている場合には、その相続人の署名、捺印で足ります。
- ▽ 遺言により遺言執行者が選任・指名されている場合
- 遺言公正証書謄本
- 遺言執行者・受遺者の印鑑証明書
- ▽ 家庭裁判所により遺言執行者が選任・指名された場合
- 遺言公正証書謄本
- 家庭裁判所の選任に関する審判書謄本
- 遺言執行者・受遺者の印鑑証明書
(G)公正証書遺言で、執行者がいない場合
次の書類が必要です。
- 遺言公正証書原本
- 受遺者の印鑑証明書
相続届には、受遺者全員による署名・捺印が必要です。
但し、遺言書の中で三菱UFJ銀行の預金を相続する人が特定されている場合には、その相続人の署名、捺印で足ります。
払戻し
全ての書類を提出してから、2週間程度で支払いを受けることができます。(預貯金口座以外に取引があり手続をおこなっている場合、これよりも時間がかかることがあります。)
相続預貯金の払戻しのサポート
相続預貯金の払戻しは、各銀行により求められる書類などが異なり、不慣れな手続に負担を感じることもあります。
上垣司法書士事務所では、こうした払戻し手続のみならず、株式の名義変更や売却処分、相続不動産の名義変更など遺産承継に関する「相続手続」をサポートしています。
遠方にお住いの相続人の方で、被相続人が明石市、神戸市、高砂市、加古川市、淡路市などにお住まいであったような場合にも、一度お問合せください。
あなたに代わって相続手続ができるかどうかお話をさせていただければと思います。
「遺産整理」についての解説
相続預貯金、不動産、株式、車両、動産など「相続」を原因として引き継ぐ場合、財産の名義変更や、解約・換価による現金で受領するための手続はとてもわずらわしいものです。これら相続財産を引き継ぐための手続について司法書士が解説いたします。