疎遠な他相続人(兄弟姉妹)との相続手続|明石市在住 B様|解決事例
相続手続
執筆者 司法書士 上垣 直弘
- 兵庫県司法書士会登録番号 第1549号
- 簡易裁判所訴訟代理認定番号 第712178号
日頃、東播磨地域(明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)や淡路市、神戸市にお住まいの個人、中小企業の方から不動産登記手続を中心に年間100件以上のご依頼を受けています。中でも遺産整理手続の依頼は多く、これまで遺産の名義変更や処分、不動産の相続登記を数多く取り扱った実績があります。
1.ご相談の経緯
明石市にお住いのBさんは、自宅が亡くなったご主人(Aさん)名義のままになっており、これをBさんの名義にしたいと考えていました。
Aさんには子供がいなかったため、Aさんの兄弟姉妹4人が法定相続人にあたります。
ただし、Aさんの父親は再婚しており、末の妹(Cさん)のみ母親が異なります。
BさんはCさんとはほぼ面識がなく、住所や連絡先も知りません。
Bさんは、Cさんを含むAさんの兄弟姉妹全員の同意がないと自宅を自分の名義に変更できないと知り、上垣司法書士事務所に相談に来られました。
2.相談のポイント
子がいないご夫婦のいずれかが亡くなった場合、配偶者が遺産の100%を相続するわけではありません。
- 被相続人の親が存命の場合は、配偶者(50%)と被相続人の親(50%)
- 親が亡くなっている場合は、配偶者(75%)と被相続人の兄弟姉妹(25%)
このように、配偶者は必ず相続人となりますが、それ以外の相続人は、子ども、親、兄弟姉妹の順で共同で相続人となります。
Bさんはなるべく速やかに自宅の名義を変更したい意向でしたが、今回は兄弟姉妹も奥様とおなじく相続人となります。
特に疎遠な関係である異母妹のCさんに手続きに協力してもらうために、「何をどうずればいいのか?」について相談を受けました。
3.弊所の対応とその結果
相続人調査により、相続人を確定するとともにCさんの住所が判明しました。
そこで、まずCさんを除く兄弟姉妹に集まっていただき、遺産分割協議を執り行い、
「Aさん名義の自宅についてBさんの名義とする」ことで合意しました。
その際、兄弟姉妹の方にCさんについてお伺いしましたが、どなたもCさんとは疎遠であり、連絡先等も知らないとのことでした。
そこで、調査で判明したCさんの住所へ、Aさんが亡くなったこと及び相続手続きについて事情を説明する手紙を送り、返事を待つことにしました。
しかし、1か月以上経過しても、Cさんからの連絡はありません。
何とかCさんと連絡をとるために、次の手段として相続人調査時に判明したCさんの長女(Dさん)に、Cさんと連絡がとりたい旨の手紙を送ることにしました。
DさんはCさんの近所に住んでおられたので、Cさんと連絡がとりやすいと考えた結果でした。
Dさん宛にDさんに手紙を送った後2週間程経ってから、Cさんから連絡がありました。
どうやら住所地から、少し前に引越しされ、今は別の場所に住んでおられるとのことでした。
その後、お電話で今回の相続手続きについての詳細を説明したところ、「Bさん名義とすることに」同意していただけ、他の諸々の手続きにも協力していただけることになり、遺産分割協議書に署名押印をいただくことができました。
その後登記申請を行い、Aさん名義の自宅について無事Bさんへの名義変更を完了することができました。
4.担当司法書士からのコメント
子がいない夫婦の場合、遺された配偶者が100%遺産を相続すると考えられる方が多いですが、そうではありません。
被相続人の配偶者と兄弟姉妹が相続人に該当する場合、非常に手続きが煩雑になるケースが多々あります。
また、紛争に至り裁判上の手続きに移行するケースも多いです。
今回のように子がいない夫婦のケースで、遺された配偶者を守るためには、遺言書(※特に公正証書遺言)を作成することをお薦めします。
生前に遺言書を作成することで、兄弟姉妹の同意を得ることなく速やかに遺された配偶者に遺産を相続させることが可能となります。
詳細は弊所までお気軽にお問いあわせください。
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