相続登記と住宅ローン完済による抵当権抹消登記│明石市在住 E様|解決事例
登記手続
執筆者 司法書士 上垣 直弘
- 兵庫県司法書士会登録番号 第1549号
- 簡易裁判所訴訟代理認定番号 第712178号
日頃、東播磨地域(明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)や淡路市、神戸市にお住まいの個人、中小企業の方から不動産登記手続を中心に年間100件以上のご依頼を受けています。中でも遺産整理手続の依頼は多く、これまで遺産の名義変更や処分、不動産の相続登記を数多く取り扱った実績があります。
相続登記と住宅ローン完済による抵当権抹消登記│明石市在住 E様|解決事例 | |
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依頼者様 | 兵庫県明石市 在住 |
ご依頼内容 | 相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議書の作成、相続登記(相続不動産の名義変更)、抵当権抹消登記 |
手続代行・サポート内容 | 金融機関からの必要書類の確認・書類修正、遺産分割協議書作成、登記手続(神戸地方法務局明石支局)、権利証(登記識別情報通知)の受領 |
ご相談の経緯
Eさんは約3年前にご主人を亡くされました。
Eさんとご主人の間には子どもが2人います。
Eさんは自宅の名義がご主人の名義であったため、これをEさんの名義にしたいと思っていました。
Eさんの名義にするためには、相続人全員で遺産分割協議をおこなう必要があります。
しかし、当時、子どものうち1人が未成年(17歳)であったため遺産分割協議をおこなえずにいました。
また、ご主人が加入していた団体信用生命保険で住宅ローンが完済されましたが、Eさんへの相続登記が済んでいないため、自宅に付いている抵当権を抹消する手続もおこなえずにいました。
Eさんは、未成年だった子が成人したのを機に、これらの手続を進めたいと思い、上垣司法書士事務所に相談に来られました。
相談のポイント
不動産をEさんの名義に変更するには、相続人全員で遺産分割協議をおこなう必要があります。
遺産分割協議において、相続人の中に未成年者がいる場合、一般的には親などの法定代理人が未成年者に代わって協議に参加します。
しかし、亡くなった方の相続人が「親(被相続人の配偶者)」と「未成年の子」である場合、親と子の利益が相反するため、親であるEさんは未成年の子の法定代理人になることができません。
この場合、Eさんの選択肢としては以下のものが挙げられます。
- 未成年の子が成人するのを待って遺産分割協議をおこなう。
- 家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらい遺産分割協議をおこなう。
- 法定相続分で相続登記をおこなう。
今回のケースではEさんは①を選択していたため、そのまま自宅の名義をEさんとする内容の遺産分割協議をとりおこないます。
また、ご主人が住宅ローンを組んだ際に加入していた団体信用生命保険で住宅ローンも完済されていましたが、完済されたからといって自動的に抵当権が抹消されるわけではありません。
抵当権抹消の登記手続は、抵当権者と不動産の名義人が共同でおこなう必要があります。
したがって、抵当権を抹消するには、相続人名義への相続登記を経なければならないため、相続登記をおこなったのち、抵当権抹消登記の順で手続をおこなうことになります。
弊所の対応とその結果
まず、相続人調査のため、被相続人の戸籍を出生から死亡時までのもの全てを取得していきます。
また、被相続人の住民票除票(または戸籍附票)も取得します。
これは、被相続人の戸籍謄本には住所が記載されないため、被相続人と登記簿上の名義人(登記簿には住所・氏名が記載)が同一人であることを証するために必要となります。
次に相続人全員の戸籍謄本と不動産を取得される相続人の住民票(または戸籍附票)も必要となるので、これらも取得していきます。
相続人調査と並行して相続財産の調査もおこないます。
今回は相続登記のご依頼でしたので、被相続人名義の不動産を全て確認していきます。
相談時に最新年度の固定資産税の納税通知書などを確認し、相続の対象となる不動産を確定していきます。
念のため名寄せをおこない、被相続人名義の不動産に漏れがないよう確認していきます。
相続人調査と相続財産調査が完了し、次に遺産分割協議書を作成します。
相談時に聴取した「Eさんが自宅不動産を相続する」という内容で遺産分割協議書を作成し、相続人全員に署名および実印で押印していただくとともに、印鑑証明書も提出していただきます。
相続登記手続と並行して、抵当権抹消登記の準備もおこないます。
一般的に住宅ローンが完済されると、金融機関から抵当権の抹消登記に必要な以下の書類が郵送されてきます。
- 抵当権の解除(弁済)証書
- 抵当権の登記識別情報通知(または登記済証)
- 金融機関の委任状
「不動産の表示」など金融機関側で漏れなく記入してくれるケースもありますが、未記入の部分があれば、登記事項証明書を見ながら正確に補筆していきます。
今回のケースでは相談時にEさんが保管していた書類をお預かりし、未記入の部分について弊所で補筆させていただきました。
これで必要な書類がととのったので、相続登記と抵当権抹消登記の申請を管轄法務局である神戸地方法務局明石支局におこない、無事に手続きが完了しました。
担当司法書士からのコメント
今回のケースは、相続発生当時は相続人の1人が未成年でしたが、その子が成人されてからのご依頼だったためスムーズに手続きが完了しました。
その間Eさんは約3年にわたって手続を待たれていました。
現時点(令和5年)では相続登記に期限はないので、そのような選択も可能ですが、令和6年4月から相続登記の義務化がスタートします。
今後は登記義務の期限内にしかるべき手続をおこなわなければならないことに注意が必要が必要です。
詳細は当事務所までお気軽にご相談ください。